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石臼蕎麦や石臼豆腐屋さん必読(上のリンクと併せて読んでいただきたい)

 なぜスローモーションの石臼でなければいけないか

         

 食材はゆっくり粉にしないとまずくなる訳は摩擦熱による熱変成だというが,そんなに熱が出ていないのにと思う。

 ところが見かけでは出ていないのに,焼けたり融けたりしていることを1936年,ケンブリッジ大学のバゥデン教授は実験で示した。

       難しい内容だから(バウデン・ティバー(F.P.Bowden)著、曾田範宗訳『固体の摩擦と潤滑』(丸善、1961)以下わかりやすく解説します。

 そこで摩擦熱の発生メカニズムを巧妙な実験で明らかにした。実験は測定のため金属を用いたが,それは測定の都合からで,結果は非金属でも全く同じだと述べている。

 巧妙な測定装置をつくり、二つの金属の摩擦面における瞬間的温度上昇を熱電位差によって測定し、驚くべき結果を発表した。

 「ふつうの速度と荷重の条件であっても、金属表面は局部的に、摂氏500-1000度という高温度が発生している。しかしこんな高温になっている様子はどこにも見えない。金属全体は一見全く冷たいままである。加熱のはげしいところは、実際に摩擦している薄い層に限られていることは明らかである」と。

 ガラスや絹のような(もちろん食材も含む)熱の不良導体では、もっと高い温度になることも指摘している。このことを、これでもか、これでもかとばかりの実証データを掲げて、いろいろな角度から詳細に検討している。日常生活で当然のことと思っている摩擦現象だが、マクロな認識からはとても考えられない局部的温度上昇だという。このことをバウデンは固体と固体の接触面のミクロ構造から、次のように説明している。すなわち、どんなに注意深く磨いた面でも、分子の大きさに比べればかなり大きな凹凸がある。これら二つの固体を重ね合わせれば、お互いの凸部で支えられるから、ほんとうに接触している面積(真実接触面積)は、見かけの接触面積に比べればきわめて小さい。電子顕微鏡や電気的方法で測定すると、真実接触面積は、見かけの接触面積の何百分の一、あるいは何十万分の一という値になる。  尖ったハイヒールの先端で踏みつけられれば、相手がたとえ美人でも、大の男の目玉から火が出るが、固体摩擦はその比ではない。

 

100グラムの荷重で秒速一メートルというような、軽いすべりが起こっても、真実接触部ではものすごい圧力下で動くから、当然の結果として高温が発生する。

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