リンク:このセミナーの案内タイムスケールとしてのテープ年表製作資料アクリルリール直径計算式


夏休み子どもセミナーテキスト
   「鳴き砂不思議講座」
       タイムスケールのお話(大学院で宿題だったのを小学生に分かるようにしました)
 まず始めにアンケート用紙を配って、氏名や質問に答えてもらいます。

1. 時間はあやふやなもの
 時計は正確なものですが、 人間の時間感覚はあやふやなものです。人を待つ時間は長いのに、出来ない試験のときの時間は速く過ぎます。こんな「あやふや」な時間感覚なのに、テレビや教科書では縄文時代は1万年前だの、地球46億年だの、宇宙は150億年まえだのと、気楽に時間の話が出ます。マンガ家の手塚治虫さんでも46億年は想像できなかったようです。「 想像もつかない、とてつもない長い時間をかけてこの地球はできたのだ。」と書いています。さすがの 手塚先生でも、46億年と いう時間を想像するのは難しかったようです。手塚さんは頭がよいので頭で考えようとした。 「頭の中で 考えるから、手に負えなくなるんだ。手を使えばわかるのに」と言って私は実感できる方法を実行しました。私がそう書いているのを手塚さんの娘さんが見つけて、私のところへインタビューに来てABCテレビに出ました(http://asahi.co.jp/50th/miwa.html) 。このとき琴引浜鳴き砂文化館ができることを予告しました。このセミナーでは目の前にそれを考える材料があるので500万年前とはどんなものか、実際にみんなで手を使って考えて見ることにします。3日間がんばってやって見ましょう。
2. 第1日目にやること

 まず時間がかかる仕事からはじめよう。原料は2種類あり、片方はオーストラリアのフラタリーから送ってもらった砂(http://www.mckohsan.co.jp/prod01.htm)(http://www.bigai.ne.jp/~miwa/sand/4ji.html)、もう一つは山形県飯豊町(日本地図で確認)の遅谷という場所にある500万年-300万年前の地層から掘りだした粘土です。粘土の中に砂が入っています。 

 

この写真は現地のこどもたちが田圃の土手から土をとっているところです。この土で小学5-6年生十数人でここと同じ3日間のセミナーをやりました。地元の山形テレビが取材に来ています。

 このときとってきた土が文化館にあります。それを3キロくらい取って洗う容器に入れ、水を入れて回転させて一晩放っておきます。明日朝来たらちょっと覗いて見ましょう。そして砂を少し取り出して、顕微鏡で見て見ましょう。そして蛙の音がでるかどうか確かめましょう。

乾かして鳴くかどうかも確かめましょう。

鳴かないようなら、またもとへ戻して明日まで運転しておきましょう。

3. 第2日目 進行状態を見ながら5.以下の説明を随時行ないます。

4. 第3日目 2種類の原料でオーストラリアの砂は音が出るかもです。遅谷の砂はまだ音が出ないでしょう。多分あと・・・・日間洗う必要があるでしょう。もう顕微鏡で見ても汚れていないのになぜだろう?

5.. 洗う原料の砂の説明

鮮新世(500-300万年前の日本列島

琴引浜の西側の橋へ出るとはっきり確認できます。衝突域で波による激しい洗浄を絶えず繰り返しています。是非現地で見て下さい。真冬にはもっともっと激しいです。

器械で波の仕事を再現する。直径20cm 1分間60回転

問題1 1回転で円周の長さだけ運動するとして、24時間で何m運動するか計算しなさい。

問題2 信濃川と同じ距離を運動させようとすると、何時間運転すれば良いか。計算しなさい。

問題3 砂が鳴くようになるのはアメリカのミシシッピー川くらいの長さを運動させる必要があるといいます。何日運転する必要があるか、計算しなさい。

日本一長い川は信濃川です。日本地図で確かめましょう。世界地図でミシシッピー川を確かめましょう。長さは百科辞典などで調べて見ましょう。インターネットでも「日本一長い川」で検索も出来ます。

http://www.man-abi.com/event2002/8/sya/a_sya002.html#top(宿題なんでも相談所)

6. タイムスケール(時間の長さを確かめるための定規)

 タイムスケールについて,ある有名な天文学者の説明(http://www.anc-tv.ne.jp/~loschild/tishitsu/46-365days.htm)はこうです。

「地球ができてから現在までの46億年を365日(1年)にたとえてみます。「地質学的時間」のタイムスケールとでもなりましょうか。宇宙のチリやガスが集合体を形成し、星(地球)として誕生したときを、1月1日午前零時とします。1月から数ヶ月は、何も起きません。想像だけですが、真っ赤に燃える「火の玉」のような状態だったことでしょう。極端な例ですが、「恐竜」の出現,絶滅は12月になってからです。まして、人類の出現などは12月31日になってからのことです。猿人が、12月31日午後4時頃出現。」・・・この話に納得できますか。私はおかしいと思います。
 これはあやふやな時間をあやふやな時間でおきかえているだけでまやかしだと私は思います。だってこれだと一年中眠らずに見ていなけばいけません。だれも体験できない話です。
7. 時間を実体験する

 人間が大きさを目で見て分かるのは長さと大きさ(重さ)です。長さなら歩けば体験できる。でも人間の体力では1日数十キロが限界でしょう。阪神淡路大地震のとき、一番遠くまで歩いた人は大阪から京都まで46キロだったといいます。長距離マラソンレースもこれに近い距離です。重さでも実感できますが、200キロにもなればお相撲さんならともかく普通の人では無理ですね。

問題2:他に実体験できるものはないか。考えてみなさい。

8. 砂時計のイラストで見せる方法もある。これは私が島根県の仁摩サンドミュージアムで実現しました。これは一年間流れ続ける砂時計全高5メートルの世界一の大きさです。これには一億円も金がかかりました。

 葛飾北斎マンガこの絵のかわいいシール進呈

問題(大学用)砂1ton(使って丁度1年間流れ続ける砂時計の設計図を書きなさい。砂

9.. これがタイムスケールのシール(文化館で準備しています。) 

 時間を実体験するのに上のスケールを作って見ました。日本人の平均寿命は78才といいます。四捨五入して100年を1ミリにとります。1ミリは顕微鏡で見ることができる最大でこれ以上は視野から出てしまいます。肉眼で見える限界は1/10mm(目の解像度)、光学顕微鏡では1/100か無理しても1/1000mm(1ミクロン)が限界、それ以下は電子顕微鏡の世界です。1000年は1cm、1万年は10cmです。

 上の10cmにクフ王が見えますが、そのピラミッドの秘密の部屋から出土した砂も展示していますのでご覧下さい。これは早稲田大学の吉村先生も認めた本物ですよ。

10. テープ年表製作

 いよいよ長い長い年表製作に入ります。これから先は文化館で準備したラベルを切り抜いて、いつどんなことが起こったかをそれぞれの長さの位置に貼り付けて行きます。たとえば「20万年前  Mindel氷期終る21万年前」とあったら20万年前の位置にラベルを切り取って貼り付けます。これはものすごくしんどい仕事ですががまんしましょう。

この方向に貼る(20万年前の例)

11. 延ばして見る

 でき上がったら全長50メートルですから戸外に出て真っすぐに延ばしてみましょう。

12. まとめ ごくろうさん。感想文を書いてもらいます。

13. 琴引浜の砂には高温石英が沢山含まれています。これは顕微鏡で探せます。見つけたら特別の容器を準備していますから持帰っていただけます。でも探すには三途の河原の修業がが待っています。。
  鳴き砂生成の秘密を語る高音石英が見つかるかも。

石英は573℃を境に高温相の高温石英(写真参照)と低温石英(いわゆる石英)に分れます。
高温石英は火成岩中に斑晶としてよく見られ石基の風化により分離したものは柱面は殆ど見られず六角錐のみの両錐形をする。外見は高温型であるが厳密に言うと573℃以下となった時点で構造は低温型のものに移行してしまっている。 
これは生成したときは岩石が溶けていたことを意味し、地球がまだ真っ赤な溶けていたことで、46億年のどの辺かはわからないが、ほんとうに大昔だといえる。

http://www.h2.dion.ne.jp/~ice/sanka/sekiei.htmより。

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