リンク:参加したこどもたちの感想文 | |琴引浜鳴き砂文化館が準備したアクリルリール直径計算式|
網野町 夏休みこどもセミナー 報告
2003.8.18ー20日(月〜水)参加者21名
君たちの中から鳴き砂博士が25年後に数人でることを期待していると言ったがこれ本気
予定通りのスケジュールで行われた。
まずアンケート用紙を配付
アンケート
氏名 住所
1. 時間というものを見たことがありますか? ある ない 見えない
2. 人生というものを考えたことがありますか? ある ない
3. 100年は長いと思いますか?短いと思いますか? 長い 短い
4. 500万年という時間は分かりますか? 分かる 分からない
5. 人類の未来はあと何年あると思いますか? 永久 1万年以上 1000年以上以下
6. このセミナーをどこで知りましたか? このHPから 役場からの手紙 先生から 文化館のHPから
7. 琴引浜の鳴き砂は世界一であるというのは? ほんとうだ うそだ わからない
8. 鳴き砂についていままでにも聞いたことがありますか? ある ない
を書かせて集めた。7番ほんとうだが誰も考えていなかった。あまり他所では言わないようにしなければいかんが、本当だと思ってほしいと言い添えた。それに基づきおおよその意識を捉えてから、テキストを見ながら、人間の時間感覚はあやふやなものだということを説明する。
理科少年なら知っているはずだが
三輪は冒頭で君たちの中で「理科少年は手をあげなさい」と言ったが反応がなかった。そこで「来週の8月27日に火星が大接近するが知っているか」と問うがこれも反応なし。そこで「これは6万年ぶりの接近で火星は南の空に現れる。かならず見ろ」と言ってから、ここで6万年というがどれくらい流し時間か意味はわからないはずだ。(火星大接近のテレビ報道は丁度このセミナー第ニ日にNHKニュースに出た。なんとよいタイミングだった。
こういうことを頭で考えると分からなくなる。漫画家手塚治虫さんは頭がよかったが、頭で考えようとしたから、想像もつかない、とてつもない長い時間などということになった。と書いたら手塚さんの娘さんがそれを見て、私のところへ取材にきた。このセミナーでは手を使い体を使って考える実際をを体験してもらいます。3日間がんばりましょう。
1. まず考える材料として山形県飯豊町遅谷の田圃の中から現地のこども達が掘りだしている写真を見せ、「この土がここにある。この土を洗うと網野の鳴き砂と同じ鳴き砂を作る機械がこれだ」とそれに土と水を入れ運転開始。この田圃は500万年まえの鮮新世(せんしんせい)の地層だ。小学校では地学はないが、いずれ習うのだから鮮新世という名前だけ覚えさせる。「このころ人類が地球に現れたんだよ」と教える。しかし、この山形の砂は40日以上運転しないと、鳴き砂にならない。別にオーストラリアのフラタリーの海岸から取ってきた砂は、もっと早く鳴くのでそれも別の同じような機械で洗うことにしましょうと、これも運転開始。3日間ではせいぜい50時間であるから、泣く筈はないが、3日目になるとほとんど汚れは出ず、もう大丈夫と思うものだが、鳴かないということを示すのも体験である。
2. 高温石英の拾い出し
テキストの上の図を見せて、普通の水晶は右の形だが、鳴き砂は左の形の水晶が集まっている。これは地球が溶けたマグマの火の玉であった時代から、次第に冷えて固まるとき、真っ先に結晶になった証拠なのだ。転移温度が573だからすでに結晶構造は低温に転移しているが、外形はそのままに残っているわけだ。そうすると大きな歪み(ひずみ)が存在するのであろうか。
問題は無数の砂粒の中から一つの粒を拾いだすにはある技術がある。私はそれを「三途の河原」と読んでいる。漠然と無数の砂を見つめていては絶対に探せない。粒を一列に整列させて、かたっぱしから見て行くのである。こう言ってもだいたい誰も言うことを聞かないが、聞いた人にだけ幸せが訪れるのだ。この日夕方までにただ一人の子が高温石英を拾いあげた。「そうだ、君は幸運石英を拾ったんだ」と言ってあげた。私は日本中の鳴き砂全部について検査し、どの砂にも必ず高温石英が存在することを確認している。このような方法は実は私が昭和電工勤務時代に見いだした極秘のノウハウだった。私はこれで飯を食っていた。顕微鏡のプロの技というものだ。
こんなことをやらせても無意味ではと思う方もあろうが、科学の厳しさを体験させたと私は思っている。
洗浄機械の音を聞きながら、次の話に入った。
第2日 ここに顕微鏡がある。それでマイクロスケールというものをかわるがわる覗かせる。1mmを100分割した目盛りが見える。実はそれが人間の一生100年と見ると、君たちの年はどの辺か見えるだろう。
顕微鏡で見るマイクロスケールの目盛り(これで人生100年を実感できる。
こども達はこれで人生100年を見た気持ち。
「わかったか」「うん」と返事が来る。
つぎに下記の絵を見せる。1mmが100年とすれば10000年は10cmだ。これをラベル用紙にプリントしたものを配付した。その右端には人間の一生100年が見えている。
今度は7色の紙テープの包みを1個ずつ配って、それで人類史500万年年表を作りなさいと命じた。
別にラベル用紙に印刷したそれぞれの時代に起った事件(事項)のリストを配ってこれをはさみで切り取って貼り付けさせる。下図のように何万年という字は丁度テープの幅に収まる大きさに印刷してある。(横に置く子も多かったがうるさいことは言わなかった。折角7色準備したが、全部の色を使うように言うのを忘れたので殆どの子が1色で作ってしまった。ほんとうは50万年毎に色を変えたほうがわかりやすく、しかもきれいだが)。
定規は10cmのものを持った子が多いので、長い長さを測るのに結構時間がかかったが、午後3時頃には殆どのこども達が完成した。いよいよ全員で文化館の南の道路に出て全長50mのテープを延ばして見た。自信がある子達だけだったが数本が完全だった。以前飯豊町で同じようなテープを作ったが、当時は人類史は300万年といわれていた。最近では500万年とされているので、テープの直径もはるかに大きくすごい迫力だった。
第三日
蛙砂を作る作業
アクリルパイプと蓋の加工済み部品が準備されている。これを接着剤で接着し、それに準備してあったオーストラリア フラタリー産の鳴き砂を適量と水を入れて、ゆすって見て音がでればOK。この砂はほぼ100時間の洗浄で発音する。
次に初日に近くの田圃で捕まえて来た殿様蛙に聞かせて見る。確実に反応するから、こども達は大はしゃぎ。
アクリル接着はむずかしいので松尾さんが手伝ってくれた
これですべて作業は終了。めでたしめでたし。
あとは感想文を書く。作業にはもたついていた子が感想文では立派な子もいる。渡した紙に数行というのはダメ。もう少し書けと命じる。どんどん出してくるのを斜め読みですぐ間違いを見つけて小言をいうのは同志社で100人教室で鍛えた得意芸だ。
最後に玄関で記念撮影。
作品は全部夏休みの宿題として出せるよう持ち帰えってもらった。小学校へ帰ってこども達はどう先生に報告するのだろうか。
付記:6万年前とは
一人のこどもから出たある質問は私自身はっとさせられる鋭さがあった。さすが掛津の子だ。私が「6万年後までの未来を60センチつぎ足しておけ。それは原子力の放射性廃棄物の放射能が半分になる期間(それを半減期というが、まだ危険なままだ)より短い。」と私が言ったとき彼は「反対に逆に過去に戻ったら、どこかなー」とテープを見直していた。「なるほど」と私もたどって見たら、「5万年前に現世人類クロマニオン人(ホモサピエンスサピエンス)出現 この頃世界の人口1000万人とある。4万年前には人類が当時陸続きだったベーリング海峡を経てアメリカ大陸へ」とある。なんと6万年とはすごい長さだ。そうなると次の火星大接近を見るのは現世人類ではないかも知れない。
三浦さんと顔を合わせ「ワーエライこっちゃ」といいながら、誰か考えた人はいるだろうかと、HPのYahoo検索で6万年前を調べたが、何も出ていなかった。せいぜい200年後の夢物語があるだけだった。これどう思いますかみなさん。
その後テレビでも火星大接近を報じ、「6万年ぶり」とはいうが、だれ一人として、6万年はどれほど前かについては考えていないようだ。やっぱりタイムスケールが必要なんだ。
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