砂粒のなかに、砂と同じ位の大きさのこんな生物が見つかります。
虫眼鏡か顕微鏡で砂の中から拾うことができます。
現在、大和郡山市在住の紺田 功先生がわが国唯一の有孔虫の専門家ですが、 私は紺田先生からその存在を教わり、数年間、島根の琴ケ浜と丹後の琴引浜で調査を続けていました。鳴き砂の浜辺では砂が特別に粒揃いで拾い易いからです。
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有孔虫を研究する理由
- 有孔虫は、古生代初期の約5億7千万年前から約5億年前のカンブリア紀に出現した代表的原生動物で、
長い地質時代を経て現在も広く海洋および汽水域に生息している生物の古いご先祖さまの一員である。
体は小さいが生息数が多いため、世代交代の期間が短かく、生態系の調査に有利である。
- 上記の微小貝が消滅してから、1992年以前の個体数データがない。 唯一、琴引浜の大岩西のデータ(表4)のみであるが、微小貝消滅と同時に有孔虫減少が起こった可能性が強い。
- 貝よりもはるかに個体数が多く、10グラムの砂のなかに数十ないし600個体あることもある。
世代交代も短いため水質その他の環境変化の調査には有効であろう。
- 肉眼では見えないので一般にはあまり知られていないが、環境指標生物として重要である。
肉眼では砂粒と区別つかないが、顕微鏡で見るとそれぞれの特徴をもった形が理解できる。
貝とおなじくかっては日本の海岸にあまねく存在したが、汚染に敏感なため、今では限られた場でしか採取できなくなった。
ことにその生息種の変化が重要である。1997年春以降は重油漂着の影響が注目される。
しかし研究者が少なく、デ−タが限られているので、今後の研究が期待されている。 殊に島根の琴ケ浜と丹後の琴引浜では多数の生息数が確認されているので、 この地での有孔虫群集変化の調査研究は重要な意味をもっている。
学名しかないので、名前を憶えるため、私が勝手に仇名をつけている。 ほかにいわき市と十八鳴浜についても多少データがある。
参考のため割合見つけやすい種の顕微鏡写真 写真を示す。
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