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マルクスの石臼論
クージン著、金子.馬場訳「マルクス技術論」(大月書店-昭48)に「手回し挽き臼は諸君に、封建領主を支配者とする社会をあたえ、蒸気挽き臼は諸君に、産業資本家を支配者とする社会をあたえるであろう。」という記述があった。
いきなりこれだけを聞いたのではよくわからないので資本論を調べてみた。
『商品生産のために必要な労働時間の短縮をまもなく意識的な原則として明言するマニュファクチュア期は、散在的に機械の使用をも発展させ、ことに大規模に、また大きな力の消費をもって行なわれるなにがしかの簡単な最初のプロセスにたいしてそうである。たとえばまなく紙マニュファクチュアでは、ぼろの粉砕(Zermalmen)は製紙用ミルによって行なわれ、冶.金では鉱石の搗き砕き(Zerstossen)が、いわゆるスタンプミル(Pochmuhlen)によって行なわれる。
(原注42)
まだ16世紀の終りころには、フランスでは鉱石の粉砕(Pochen)と洗浄には臼(Morser)と篩が用いられた。
(原注43)
機械の全発達史は小麦製粉工場(Getreidemuhlen)の歴史によって追及できる。イギリスでは工場(Fabrik)は今なおミル(mill=Muhle)と呼ばれている。19世紀の初め数十年間にでたドイツの技術書では、なおミューレ(Muhle)という表現が、自然力をもって駆動されるすべての機械のみでなく、機械的装置を用いるすべての工場(=目焦夢εH9)にたいしても見いだされる。』1--第4篇第12軍 分業とマニュフ7クチュァより
上記で引用した部分の邦訳(向坂逸郎訳第2巻291頁、長谷部文雄訳365頁)ではPochmuhlenが「ポッホミューレ」とか「砕鉱機」などと書かれておりそのままでは全く意味がとりにくいので、原文により修正し原語を参考のため付記しておいた。このほかにも術語については原文を参照しながらでないとわからない部分が多い。
(注) 参照した原本は K.Marx:"Das Kapital"Erster Band 2,Deitz Verlag Berlin(1969)p368-369
以上『石臼の謎』より。(なおドイツ特有の文字は不正確であるが一般的な英文示した)