リンク:蛙砂セットとは


いいで再発見

       (『広報いいで』企画課発行 飯豊町広報誌1998.12.17.より)

鳴き砂からのメッセージ

 皆さんは中津川地区・遅谷にも鳴き砂があるのをご存知ですか。

鳴き砂というと海辺のきれいな浜にあるのを思い浮かべますが,

実は山深い本町にもあるのです。

それはある仮説に基づき発見され,500万年前の太古までさかのぼるロマンあふれるものでした。

今回のいいで再発見は「日本の音風景百選」にも選ばれた鳴き砂を紹介したいと思います。

鳴き砂ってなあに?

 めざみの里観光物産館の陳列コーナー風景

 浜辺の砂浜海を歩くと「キュッ、キュッ」「クッ、クッ」という不思議な音がする砂が鳴き砂、鳴り砂と呼ばれています。山々が侵食され川によって海へ運ばれた砂が、海岸に押し寄せる波により洗浄され続け、砂の表而に付いていた汚れが落ち、砂が丸く磨かれて、鳴き砂となります。  鳴き砂は無色透明でガラスや陶器の原料となる石英の粒(直径阯0.8〜0.2ミリで出来ており、他の鉱物・縊異物の混人が少なく、砂粒の大きさがそろっている必要があります。そして、この石英の層が振動することによって音が出るとされています。日本では、全国で約20カ所の砂浜で鳴き砂が確認されていますが,水質汚染やゴミの投げ捨てなどにより,良く鳴く砂は非常に少なくなってきています。 鴫き砂からのメヅセージ皆さんは中津川地区・遅谷にも鳴き砂があるのをご存じですか。鳴き砂というと海辺のきれいな浜にあるのを思い浮かべますが、実は山深い本町にもあるのです。それはある仮説に基づき発見され、500万年前の太古まで開発。海岸の鳴き砂が波によっさかのぼるロマンあふれるものでした。て洗浄される環境を人工的に作今回のいいで再発見は「日本の音風景百選」にも選ばれたり山し、遅谷の砂を鳴かせるこ鳴き砂を紹介したいと思います。とに成功したのです。このことにより、なぞの一点線の仮説がすが、江明されることになりました。峻多砂つて渉あに?壕ぜ山の巾に墳多砂が!てなどにより、良く鳴る砂は非常に少なくなってきています。 なぜ山の中に鳴き砂が!  鳴き砂研究で世界的に有名な三輸茂雑同志社大学名誉教授は、日本列島に存在する鳴き砂の位置を地凶の上に並べると多少の凸凹はあるが、なぜか九州北部(福岡県二丈町)の日本海から東北北部(宮城県唐桑町)の太平洋まで、日本列島を斜めに横切る一直線上に点在することを発見しました。三輪教授は、なぞの一直線(ミュージカル・サンド・ライン)と呼ばれている)の仮説を証明するため、直線上の内陸部を調査。1982年,中津川地区・遅谷から石英の含有率が98%もある珪砂を発見しました。  この珪砂には泥や粘土が付着しているため、いくら砂の上を歩いても音はしません。そこで三輪教授は砂を洗浄する機械を開発。海岸の鳴き砂が波によって洗浄される環境を人工的に作りだし,遅谷の砂を鳴かせることに成功したのです。このことにより,なぞの一直線の仮説が,証明されることになりました。しかしなぜ一直線上にあるのかは,地質学的にも謎とされています。 飯豊も昔は海だったのかも  なぜ山の中に鳴き砂があるのでしょう。三輪教授によると「飯豊町の地層は鮮新世と呼ばれる300万〜500万年前の時代に出来たもので、当時この地は海に面していた。石英が川から流れ込んだり、海底の石英が波打ち際に打ち上げられ洗浄されて、鳴き砂になったのではないか。その後、地殻変動により陸地となり数百万年の眠りについたのでしょう。ひょっとすると、太古の動物たちが飯豊の鳴き砂の上を歩き、砂の音を楽しんでいたかもしれませんよ。」と、言われています。 鳴き砂を活用した商品開発  中津川地区・遅谷の珪砂の埋蔵量は約一億トン。現在は、町内企業の川鉄鉱業M飯豊鉱業所が鋳型やガラスの原料などとして、掘り出しています。また、鳴き砂を使用して、まちづくりや地域活性化など、さまざまなことが始められました。  以前より鳴き砂に興味があった小松誠一郎さん(黒沢)、陶芸の土に珪砂を入れて陶器を作成していた萩生焼の舘石茂さん(萩生)らが、鳴き砂を活用して特産品開発に取り組むグループ「太古の浜会」を組織。陶器に砂を入れて専用の突き棒で鳴かせる「鳴き砂」や珪砂にいろいろな色を付け絵を描く「砂絵」、「香炉に入れる砂」など、さまざまな商品を開発しました。  十一月には三輸教授の指導により、アクリル製の円筒に千時間かけて洗浄した珪砂と水を入れて、カエルの鳴き声そっくりに鳴かせる「かえるすな」を開発し、めざみの里観光物産館、町内の各宿泊施設、遠くは島根県仁摩町にある砂の博物館「サンドミュージアム」でも販売しています。太古の浜会の小松代表は「かえるすなの商品化は非常に難しく、誰も挑戦しなかったが、日本や世界で作られていない商品を開発したかった。貴重な地域の素材ですので、これからも鳴き砂の関連商品を開発し、鳴き砂を宣伝していきたい」と、今後の抱負を語っていました。 川の汚れは海につながる  今年の八月十〜十二日には中津川公民館の主催で、三輪教授を講師に迎えて、中津川小学校の小学生が参加しての「鳴き砂の白由研究会」が開催されました。これは、「自分たちが住んでいる地域の生い立ちを学び、少量のごみや油が混ざると鳴かなくなる汚れに敏感な鳴き砂を通して、白然環境保護を考えるきっかけにしてほしい」と、企画されました。  生徒たちは、三輪先生と一緒に珪砂を採取。砂を洗浄して「かえるすな」を作る体験作業を行いました。参加した生徒たちは「鳴き砂づくりとてもおもしろかった。でも、なんでこの砂だけ鳴くの。どうしてカェルのような鳴き声が出るの」と、不思議そうな表情をして話していました。  海岸の鳴き砂は河川や海の汚染影響を受けやすく、環境のバロメーターと言われています。昔は日本でも約九十カ所もあった鳴き砂の浜は、原子力発電所や観光開発、護岸工事のため鳴かなくなり、浜が消滅したところもあります。海岸の鳴き砂とは異質・異色の存在である飯豊の「鳴き砂」や「かえるすな」を教材に、子供たちが地球環境の大切さを学ぶきっかけになればと、取材を通して強く感じました。

かえる砂開発風景

戻る