ハワイの吠える砂(バーキングサンド)は健在と情報あり。

ハワイ・カウアイ島の下記の地図の場所に確かに存在するという情報があった。5月〜7月ならその不思議な声が聞けるという。現在軍事基地になっているが、時間制で入場可とのこと。土日は休日のため不可。ウイークデーは4時以降という。この
 有名な19世紀アメリカの鳴き砂研究者ボルトン博士の調査レポートを以下に紹介します。
同志社大学工学部粉体工学研究室から1997年7月16日-23日調査団4名が調査旅行実施。

死者の霊が泣く(カウアイ島)
 ハワイ観光のポイントのひとつになっている「緑が美しい庭園の島」カウアイ島(別名ガーデン・アイランド)に、あまり人が訪れない魔の地区がある。ノヒリと呼ぶこの場所について、Ledoux(1)はこう書いている。
「ここは古い墓地で、風がたえずこの不毛の地をよぎって吹き、珊瑚の砂で埋まる。漁船はこの沖合いを通遇するときに避けて通るという。風向きによってるような不思議な、いとも悲しげな泣き声が聞こえてくるからであ死人のさまよえる魂なのだという」これガ砂のいたずらであることは、1854年、はじめてG‐W ベーテスが書いた(4)。ソローやミラーの発見の4年前のことである。そして、Bolton博士は1890年にここを調査した(5,6)。
「ハワイ諸島、カウアイ島の西岸にあるマナ(Mana)地区に、高さ30メートルで、1.6キロ以上にわたり、海に平行して走る砂丘がある。そこには海と風の力によって摩耗された貝殻と端推片がその砂丘を覆って切り立った崖に遮られ、砂丘の基部は海に洗われている。東の端は砂丘で終わり、ここの形は他の大部分の場所よりも対称的で、切頭円錐を広げたようになっている。頂上と、海から約90メートル離れた陸側の斜面は、著しい音響特性を有し、犬が吠えるのに似た音を出す。この砂丘は高さ33メートルだが、ソノラス・サンドの斜面は、それが覆っている地面から18メートルだけである。その最も急な斜面は、31度のまったく均一な角度を保っていて、砂が乾燥しているときは著しく動きやすく、その平衡を乱せば波状をなして斜面を崩れ落ち、そのとき太い低音の大音響を発する。私の仲間はその音が小型電動鋸の音に似ているといった。砂を動かしてみると、手や足に振動を感じた。音の大きさは動かした砂の量に関係し、ある程度、温度にも関係した。砂が乾いているほど音が大きい。私が訪ねたときには深さ約10センチまで砂が乾いていた。午後4時30分には表面下7-6センチのところの温度が30.5度C、そのときの気温は日影で28度Cだった。大量の砂を崩れ落としたとき、その落ちる方向に直角にそよ風が吹いていたが、私はその音を32メートル離れた場所で聞くことができた。砂を左右の手の間で叩きつけなとホーホーというような音が聞こえた。しかしもつと大きな音を出すには、袋に入れ、それをニつに分けてから、激しくぶつけ合わせるとよい。この方法は、海岸の砂の発音性をテストする最上の方法だということを私は以前から発見していた。砂丘の頂上には風紋がついていて、しかも一般に、31度の勾配の場所よりも砂は粗めであったが、テストするとこれもまちがいなく音を発した。袋にとった砂は、そっとしておけば、その発音能力を維持した。青か紫色の花をつけたコロコロという名の蔓草がその砂丘に繁茂し、音の出る斜面を遮っていた。砂丘の基部で60メートルの長さのメーンスロープを見つけたが、そこはこの蔓草がなく、西方へ160歩の間は音を出した。さらにその先94歩は音が出なかった。
 ハワイの住民たちはこの場所をノヒリ(nohili)と呼び、1この語には特別な意味はないが、砂によって起こる音を、静寂を破られたことに抗議する死者の霊によるものだと考えている。とくに往時には砂丘が一般の埋葬地として使用されていたので、白くなった骨や、よく保存された頭蓋骨があちこちに散乱している。
 このように音を出す砂は、カウアイ島コロアの東、4.8キロのハウラでも報告されている。私は訪問しなかったが、そういう情報を聞いた。特別なコネがあって私はほとんど人々が訪ねないニ−ハウ島へもいった。この島の西岸カルアカフアと呼ぶところに、高さ約30メートルの砂丘があり、この陸側にソノラス・サンドがあって、岸に沿って約180-240メートルのぴている。高さ11メートルの斜面にある砂は、カウアイの砂と同じく動きやすくて、同じように撹乱すれば音が出る。しかし音はやや低く、斜面の角度もやや緩い。この場所を住人たちは知っているが、いままでに書かれた記録はない。
 ボルトン博士が訪ねたのは90年も前のことである。現状はどうなのだろうか。これについては、1966年に出版された地質学の本に記されている(7)。「ハワイのプーミング・サンドは、カウアイ島のマナの近く、海岸から約300メートルにある海岸砂丘にある。この砂丘は高さ30メートルで、大部分は植物に覆われている。部分的にアクティプな砂丘があり、31度の角度をなす砂の斜面は、植物のない海向きの砂丘面上に発達している。カウアイ砂丘は典型的な海岸砂丘であって、陸向風により浜辺から陸へ向かって吹き上げられた珊瑚質の砂から構成されている。他のプーミング・サンドが石英粒から構成されているのに対し、カウアイ砂丘は石灰質である点がユニークである。

1. Ledoux,A.R.:Science(N.Y.),51,[1323]462-464(1920)"Singing sands."
2.  Bolton,H.C.:TRANS.New York Acad.Sci.,3,97-99(1884) .“The singing beaches of the Baltic.”,II.“Sonorous sand‐hills of Arabia and Afganistan"
3.  Bolton,H.C.,Julien,A.A.:Proc.Amer.Assoc.ADVANC.SCI.,33,408〜444.(1885)“Musical sand,its wide disribution and Properties.”
5.  Bolton,H.C.:Science(N.Y.),16,[398]163〜164(1890)“The barking sands of the Hawaiian Islands.”
6. Bolton H.C.:Trans. New York Acad. Sci.,10,28〜35(1890)“Researches on musical sand in the Hawaiian lslands and in California."
7.  Steans,H.丁.: "Geology of the state of Hawaii.",Pa1o Alto,Calif,Pacific Books.266p(Geol1.Soc.Am.Bu11.,87[3] 463〜473((1976))より引用)

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