リンク:対数正規分布


 最近の若いもんはと言う古老がいたら、「米1升は何粒か分かりますか」と問うて見る。言えなかったら「最近の古老は困ったもんだ。」といいかえす話。

古老の知恵:一升の米粒の数はムシヤフナ   

筆者は岐阜県上石津町で昔の人は一升の米粒の数をムシヤフナ(六四八二七)粒と覚えたものだと、もの知りの古老から聞いていた。今は故人になったが打屋静雄さんからだった。念のため山形県飯豊町出身のこれももの知りの井上元一氏(明治43年生)に聞いてみたが、やはりムシヤフナだった。ある本にもそう書いてあった(小泉袈裟勝著_『ものと人間の文化史-桝』法政大学出版局)。後に平凡社の百科辞典を見て升の寸法から決まる値であることを知った。体積だから当然だが何粒かな、本当かななどと考えてみるのは意味がある。

 寛文年間に江戸と京都に枡座という度量衡の役所ができて、一升枡は方四寸九分、深さ二寸七分と定められた。したがって六四八二七立方分であると書いてある。 

 粉体工学お得意の対数確率分布のデータから概算してみるとムシヤフナ粒に近い値になった。実際の念のため知人の志水出世氏(兵庫県宍栗郡安富町在住)に聞いてみた。氏は同町の父が米の検査人だったという人から、同町でも同様のいい伝えがあることを確かめられた。ロシヤフミと覚えて六四八二三粒だったという。さらに氏は小学四年生のクラスで、玄米一合の米粒数を数えて下表の結果を得たと知らせて下さった。立方分の値にほぼ一致する。米の品種にもよるが、まずまずの値であった。いまでは1升は古物になった。1リットルの米は何粒かと考え覚えることや、本当かなと数えて見るのは小学生の自由研究テーマにいかが。ただし正規分布となると、計算は大学生程度、式の誘導となると粉体工学専門の院生でもタジタジだろう。これくらい難問中の難問になる。

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