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新西遊記幻想:まさか!!

ところで、唐僧・三蔵法師玄奘の旅したコースを詳しく現在の地図の上でたどってみて、私は驚くべき事実に気づいた。

 彼は鳴沙山をはじめ、さきに述べた「悪魔の谷」レク・ルワソ、次章で述べるソ連・カザフ共和国のアクム・カルカソ砂丘と、いずれも大きな音を出す砂山の近くを通っている。そしてタクラマカン砂漠では、不思議な音の恐怖を体験した。「仏法を求めるのは、表向きの理由であった。玄奘は白砂の怪異に好奇心を燃やして、ブーミソグ・サンドの探検をやったんだ」と考えてみるのもおもしろい。もうひとつ、『新西遊記』にこんな話をつけ加えるのはいかがであろうか。「南無阿弥陀仏、大電音寺はまったくありがたいお寺じゃ」と数珠をつまぐりながら、三蔵はお経をあげていた。孫悟空はたいくつでたまらない。そっと寺を抜け出して、鳴沙山へかけ登った。彼が蹴下した砂が大雷音をまき起こし、鳴沙の山は揺れた。三蔵は立腹して「この悪猿め、無礼なことをいたす。うるさいではないか」と大声で叫んだが、大雷音にかき消されて悟空の耳には達しない。「悟空のやつ、気が違ったぞ」。三蔵は緊こ呪(きんこじゅ)を念じた。

 「お師匠さま、頭が痛い、もうやめてください。うるさいのは、この砂のやつですよ」。

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