リンク:日本は神の国か?石原慎太郎氏も勝つという


日本人に元気を出させる本

小野晋也著『日本は必ず米国に勝てる』(小学館,2001.5)476円

著者は議員さん (衆議院)らしく冗舌だから、話が長い。なにがいいたいか。日本の文化は自然の森のように多様性であるから、あらゆる文化を受け入れて消化する能力をもつている。

こんな引用があるが、ようするにその具体的説明だ。

1922年11月16日から40日間日本に滞在して残した言葉である。 西洋の偉大な科学者が、東洋、とりわけ日本の高い精神性に 期待したという。そして日本はITでアメリカができない発想で勝つという。

「アルバート・アインシュタインは日本に滞在して次の言葉を残した。「世界は進むだけ進み、その間に、いくどもいくども闘争を繰り返すであろう。そして、その闘争に疲れはてるときが来る。そのとき、世界人類は平和を求め、そのための世界の盟主が必要になる。その盟主とは、アジアに始まって、アジアに帰る。そして、アジアの最高峰、日本に立ち返らねばならない。我々は神に感謝する。天が我々人類に日本という国をつくってくれたことを」

そのあらましはまとめれば以下のようだ。

p.163

日本には八百万(やおよろず)の神という発想がある。それぞれがそれぞれに貴いものを持ちながら、みんなで一緒に調和しつつ、しかもその全体が最適になる社会をつくるのだという発想が、日本人の原点にある考え方のようだ。これは、日本の伝統文化の中から育まれてきた考え方である。そして、私は、これこそが、21世紀に日本が世界に提唱していくべき考え方であると思っている。

p187

多様なものを、並立的に、大きく包含できる日本人の適応性。その日本的感性の中で情報システムの問題に取り組んでいくべきである。日本は今、諸外国に向け、対立するものに調和を生み出す情報を発信していくという"第三の開国"のときを迎えている。それが達成されれば、世界人類が長い間希求し続けてきた"人類が融和する世界"が生み出せるのだ。

p.192

そして、そのモデルとなるのが、自然界の森の姿なのである。繰り返しになるが、高い木もあれば低い木もある。いろいろな種類の動植物が、その中で自立しつつ共存する。しかも、全体がみごとに調和する社会そういうものが経済の場面でも生まれ得るのではないだろうか。自然界の動植物は、決して誰かにコントロールされているわけではない。それぞれが、それぞれに、自分の持っている遺伝子に基づいて、さらにそこに自分の意思というものを(植物はどのくらい意思と呼べるものがあるのかわからないが)加味していきながら、その環境の中でよりよく生きようとお互いが頑張っているうちに、全体が高いパフォーマンスを実現する。

p.196  

日本人は、いろいろな状況に対して、非常に適応性の高い融通無碍な思考力を持っていると思う。多様なものを競争的にではなく、並立的に大きく包含できるような、この精神風土は、世界の中でも非常に珍しいものである。この日本的感性を活かして情報システムの開発に取り組んでいけば、アメリカ人の想定したものとはまったく異なる発想に立脚するシステムを構築するに違いない。

p.198 .

新しい文明が生まれるとき、そこには必ず"壁"がある。私には、今の日本の経済の行き詰まりも、大きな人類進化のプロセスの中で必要な"壁"であり、この困難も、「日本民族よ、立て! 切り開け」とばかりに、天から与えられたものなのではないかと思っている」  日本は、今までのようにアメリカに追随して、物的に豊かになりさえすればいいということではなく、世界人類を幸福にしていくために、知恵と力を尽くす場所に立っているのではないか。「日本人よ、この困難の中で、日本流の新しい着想と展開力で新しい文明の種子を生み出せ!そして、その生み出した種子を世界に広げろ」そう言われているような気がするのだ。 日本人は、違う考え方は違う考え方として無理なく受け入れ、そのままの形でそれらを融和させるという稀有な資質を持っている。その資質を最大限に発揮すれば、さまざまな対立する価値観も、みんなで共有できるものに一変えることができるのではないか。.日本に世界のいろいろな価値観を持ち込んでくればいいのである。

p.214

日本は、アメリカに勝つとか負けるとかでなく、いかに世界に役立つ国になるかを考えるべきだ。もっと大きなレベルで、日本は世界に貢献できる。なぜなら日本が培ってきた文化や思想は世界に役立つ。科学技術を高いレベルでマスターしている日本人だからこそ、その高貴な精神文化を世界に向けて発信できる。日本はそれができる唯一の国なのである。  今の日本人は遺伝子が眠っているに違いない。内なる可能性に気がついていないだけなのだ。だが、その可能性に気づいたときに、日本は、科学技術と日本文化を併せ持つ素晴らしい国になれる。

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