リンク:豆腐づくり(1)石臼豆腐づくり


粉体工学会誌,37巻,No.7(2000)より

豆腐づくり(2) 石臼がないからミキサーでやってみた話

 その豆腐がすばらしかったのは,使用した大豆自体に濃厚な旨みと香があったことに加え,薪と釜で煮たr呉」から青臭さがとび,同時に微妙な焦げの香が加わったためと思われます。豆腐自体にも強度があり,田楽用の竹串を刺しても崩れませんでした。その味がなつかしく自前で作ることにしました。途端に困ったのが石臼です。とにかく潰せば良いのであろうと,ミキサーを使用しました。手作りの本にもそうしろと書いてあります。国産と表示されている大豆を使用し,なるほどr呉」らしきものができましたが何か違います。まあ良いとして,鍋で煮てふきんで絞り,硫酸マグネシウムで凝固させて早速試食。…まったく普通の市販品の味です。しかも恐ろしく豆腐収率が低いのです。そしてrおから」がまだ大豆であることに愕然としました。ミキサーの時間を延長しても同じで,大豆の強靭な繊維組織を破壊して内容物を取り出すのに石臼による湿式磨砕が如何に優れているかを思い知らされました。同時に粉砕対象物の物理的性質をよく理解し,粉砕の目的を明確にすることの重要性も再認識しました。それにしても,あのなつかしい豆腐は,自家栽培の大豆と薪と釜,天然にがり,そして石臼を用意する以外,味わえそうにありません。(TT)

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