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琴引浜鳴き砂文化館 

    ーーー京都新聞2003.6.1(日曜日)の紹介記事よりーーー

 博物館ブームといわれたのは十数年前だったろうか。歴史、科学館など本格的なものから個人の趣味レベルまで、さまざまな博物館が誕生した。看板倒れもある中、知的好奇心を満たし、楽しめて、「ため」になるそんな博物館に出会うとうれしくなる。鳴き砂で知られる京都府網野町の琴引浜近くにある「琴引浜鳴き砂文化館」も、その一つだ。開館は昨年十月。自然環境のバロマーターとされる鳴き砂と人間の共生をテーマにした専門館、と聞けば難しそうだが思い過ぎだった。大小の容器に入った砂を棒で突く。ドレミの八音階に喜び、「カエルの鳴き声」がする仕掛けに驚く。なんでだろうと思う人には解説パネルが答えてくれ、マイクロスコープで鳴き砂の正体を観察できる。「謎の一直線」も興味深い。国内には鳴き砂が30個所ほどあり、地図でその位置をみると、なぜか一直線上に並ぶという。浜を汚す医療器具などの漂着物の前では、自然と人間の関係を考えさせられ、鳴き砂の保護に尽くす地元の守る会や沈没したタンカーの重油漂着時に全国から駆けつけたボランテアの活動の紹介に心が温まる。「砂もようやく文化の仲間入りができた」。鳴き砂研究の第一人者、三輪茂雄同志社大学名誉教授が開館に寄せた言葉だ。琴引浜を素足で歩く。「キュッ、キュッ」と砂がうれしそうな声をあげた。
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 京都新聞2003年6月1日(日曜日)凡語欄記事より再録