万葉集を調べた国文学者は

 鳴き砂か鳴り砂かについて、島根の仁摩サンドミュージアム建設のとき、高名な国文学者がしつっこく鳴り砂説をぶった。万葉集にあると。万葉集:読売新聞の窓欄によみ人知らず(報道では額田王の歌とあった)として万葉集にも鳴り砂の記載があると報じたこともある。これについて1999年に駒沢大学院生の伊藤達氏が調査した。原文は「紫之名高浦之愛子地袖耳触不寝将成」で万葉仮名で書かれている。現代文で「紫の名高の浦の砂地神のみ触れて寝ずカりなむ」意味は「名高の浦の砂浜に袖が触れたけで,寝ずじまいになるのだろうか」はなはだ高尚な意味深である。語釈は砂地一組かい砂のある所。マナゴには愛児,いとしい少女の意0音語があり,原文「愛子地」の表記もそれにかけているのだろう。旅先で言葉をかけた可憐な少女をたとえたもの。場所は、名高の浦 和歌山県海南市名高町の海岸。この歌は鳴き砂のことを詠んだ歌ではなさそうだと。  語釈は日本古典文学全集(小学館)による。他の注釈を見ても鳴き砂と解釈したものはない。少女との淡いかなわぬ恋を詠んだ歌だ。もしあくまで主張するならちゃんと万葉仮名を理解してからにして。ちなみに,同書万葉集巻七にある。

戻る