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大自然のシミュレーション-蛙砂製造計画は水車利用で省エネの手本

 赤印は日本の有名な鳴き砂のある場所だが,一直線上にある。その線上に山形県飯豊町遅谷もある。この砂は500-300万年前の鮮新世の地層に粘土に伴って産出する。まだ人類が地球上に現れていない時代の古日本海の浜辺が今は山奥の山形県飯豊町付近にある。長さやく20キロメートルの壮大なビーチだったという。その頃にはもう恐竜は絶滅していたから,浜辺にはウサギやヒッパリオンという小形の馬などが遊びに来たに違いない。そして不思議なアニマルミュージックを楽しんだのであろう。

図1 鮮新世の日本列島       図2 遅谷砂の顕微鏡写真

日本海の荒波が浜辺に打ちよせて,砂を洗っていた。その様は下の絵のようだ。

砂が洗われるのはサーフゾーン(surf zone)と呼ばれる場所だ。ここで砂が秒速約0.5メートルで活発に運動し,砂粒同士がやさしくこすり合されていた。この砂は石英だから,水と一緒にゆっくりこすり合すとアモルフォスシリカ(無定形シリカ)が生成する。これは微粉だが水に溶けるから,砂の表面は化学洗浄されるわけだ。アモルフォスシリカは比較的低温度で,ガラスになる。こうしてこの石英粒子は表面がつるつるに磨かれたわけだ。現在は粘土の地層になっているから,粘土を除けばもとの鳴き砂になる。

洗浄機械の秘密

 サーフゾーンと同じ運動の再現に下の写真のミリング機械(Milling)を使うことができる。

図3 ミリング機械

 直径22センチメートルの10リットルのポリエチレン容器に粘土と水を入れて毎分60回転させる。1回転で砂は水と一緒に22センチメートル動く。1時間には2488メートルだ。1000時間だと2488キロメートル。これは日本で一番長い信濃川の6.78倍だ。このような砂の運動距離をdistance of travel(旅行距離)という。

 水が濁るから、ときどき水をかえてやる。こうして延べ約100時間動かすと、おおよそ濁りの色が薄くなりはじめる。しかしまだまだ砂は鳴かない。約1000時間で濁りの状態が変わってくる。泥水ではなく、白い濁りになる。このとき砂をとりだして乾燥させれば、ふつうの鳴き砂になる。

 この状態から更に1000時間動かすと水の中で鳴く蛙砂になる。機械とはいえ連続83日昼夜兼行の作業だ。約3月。ミシシッピー川は長さ3780キロメートルであるから、それよりも長い距離の砂の旅だ。大自然がやっていることのシミュレーションだ。なまやさしいことではないが,できないことではない。これは自然保護のひとつの行として飯豊町に定着した。

 ミリング機械も近くの川に水車をとりつければミシシッピー川もなんのそのだ。1999年8月完成した。

オープニング セレモニーは?極秘?場所はどこ?

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