丹後半島琴引浜と島根県琴ケ浜の鳴き砂の比較  平成10年(1998年)

 京都・西ノ京中学校1年2組 勝山由香

三輪の評価:琴引浜と琴ケ浜の鳴き砂を詳しく比較している。ロシアタンカーからの重油漂着は1997年だったから,その後の状態を詳細に調査した貴重なデータである。現地でポイントを決めて調査するという,実に正確な方法を使っているのも,すばらしい。

1. 研究の動機

 小学校の時に琴引浜の鳴き砂を自由研究をしてきたので,こんどは視点を変えて別の鳴き砂の浜を研究してみようと思った。琴ケ浜はインターネットの中でよく鳴く浜として出ていたので,その場所にした。

2. どのようなことを調べるか

 1. 各浜のポイントを決め,鳴くかを調べる。

 2. 各浜の砂の重さを計る。

 3. 各浜の砂を観察する。

3. 予想

 たくさんのポイントを決めたので,鳴くところと鳴かない所があると思う。

 琴ケ浜は鳴くといわれているので,本当によく鳴くのだろうかと思う。

4. 観察と実験の方法

 準備:現地用にスコップ,ナイロン袋,カメラ,ノート,マジック,10mのナイロン紐(1m毎に印をつける)

    自宅用にテレビ顕微鏡(ズーミック),ビデオプリンター,テレビ,黒色の紙(砂粒をはっきり見るため)

     上皿天秤,フイルムケース(フイルムケース1杯の重さを計る)

5. 京都府・網野町・琴引浜の調査(1998.7.21.)

 琴引浜は6箇所のポイント,琴ケ浜は3箇所を決め,0m,5m,10m,20m,30mと陸地に向かって手足で砂が鳴くか,またその場所の砂を採取する。

@遊泳禁止看板から5m東(ここは人がこないのでキュキュと鳴く。

A掛津川河口から東約5m(人の出入りが多く、砂も鳴くところが少なく砂に石や泥混入(30mのところは鳴く)

B掛津川より西、監視所の下(海水浴客が多く、鳴くところも少ない。またよく見ると崖のところに昨年の重油の跡が見られる。(27.5mの所鳴かない。)

C琴引浜中央部(太鼓浜)海水浴客も多く砂浜は昨年に比べて広くなっている。(昨年の磯場が小さくなっていて、そこに砂が入っている。(10mの場所鳴かない)

D白滝より約10mのところ(この辺は歩くだけでキュキュとよく鳴く。砂が白くて石英も多く含まれている。(29mの所鳴く)ここは岩から真水が少しづつ流れ出ている。

E西の端(漂木や漁網、浮きがたくさん打ち上げている。砂にゴミが入っているが、よく鳴く。(27mのところ鳴く)

 

6. 島根県・仁摩町・琴ケ浜の調査 (1998.8.7.)

@北部 民家から流れこんでいる排水の河口から約5mほど離れた所は南に比べて臭くなかった。また人の出入りも少ないので,浜全体で一番よく鳴いた。

A海水浴場なので,まったく鳴かなかった。朝5時なので人は入っていなかったのに。

B民家から流れ込んでいる川の河口なので臭くて鳴きも悪い。5mの所鳴かない。

 琴ケ浜の砂浜を見ると浜の中に数箇所野焼きをされている場所がありました。地元の人たちの鳴き砂に関する意識の違いを感じました。

オヤ野焼き(あきれた)

こんな風景は浜の掃除をしているつもりの人たち(老人たち)の間であたりまえになっている。掃除とはゴミを見えなくするだけ。大気汚染もあるのに。(三輪書込)

7. 感想

 

 私は小学4年生のときから丹後半島の琴引浜の鳴き砂を自由研究してきました。

昨年はロシアのタンカーの沈没で,琴引浜も重油の汚染という大変なこともありました。しかしボランティア活動で,鳴き砂の浜は元にもどることができました。

 今年は島根県仁摩町の琴ケ浜に行き,鳴き砂の浜の現状を見てビックリしました。いままで,琴引浜ばかり観察していたので,鳴き砂を守るために地元の人やボランティアの人が努力している姿を見ていたからです。

 昔から日本の浜辺には琴や音・色といった浜辺の名前があります。それは鳴き砂があった証拠だと思われます。

 しかし近年は多くの海岸が護岸工事などで破壊され,住宅地から生活排水が流れこみ,浜辺が汚染されて鳴くことがなくなったのだと思います。

 私は鳴き砂が鳴くか鳴かないかで,海水が汚染されていることがわかり,その事により地球環境が守られているかが分かると思いました。

 今後もこの自由研究を続けて行き,各地の環境問題に注目してゆきたいと思います。

 

 

 

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