リンク:日本臼類学会|

以前の活動

1. 民具研究会に粉体工学が参加
日場  1975年4月19日PM2:30-5100                        時所 東京都港区三田2丁目1-1-813 日本常民文化研究所
■テーマ: ひき臼の形態と目のパターンの全国的分布

 民具学の技術史および粉体工学的視点      同志社大学工学部三輪茂雄
■講演
人間の生活文化の中における粉体というものを考える一つのきっかけができようとしている。なおこの研究会では昨年,「石臼づくリと粉ひきその実験民具学」というテーマで武蔵野美術大学の人達が発表した.こんなところにも粉体の仲間がいたわけである.

★シンポジウム「日本の石臼と現代」
主催:日本石臼研究会,後援 日本粉体工業協会
 挽臼については,なぜか今まで余リ研究されていませんでした.しかし調べてゆくと,挽臼は既存の学問の領域をこえた.数々の問題を提起しておリ,興味津々たる研究対象であリます.ここにはじめて,挽臼についてのささやかな勉強会と,よもやまばなしの会をもつことにしました.
■日時 昭和50年4月26日(土) PM13:00-!6:30
■場所: 京都府立総合資料館 第1会議室(植物園北)
■おはなし:
1..「美学からみた日本の石臼」 信州大学教授   田原幸三
2. 「宇治の抹茶臼の伝統と技術」  京都府茶業研究所  大西市造
3. {佐渡の石臼造リの体験」   武蔵野美術大学  石の会
4.  ひき臼の技術史と現代的意義   同志社大学教授三輪茂雄
■座談会:
  ひき臼をめぐるよもやまばなし   日本常民文化研究所  河岡武春
                                                
2. 京都に臼時代復活
第2回 日本石臼研究会主催 :粉体工学研究会「伝統技術史料調査保存特別委員会」    
後援:日本粉体工業協会教育委員会,近畿民具学会
日時:1976年7月26日(月) 午前10時より 同志社大学会館にて

 同志社大学粉体工学研究室前で,石臼づくりの実演が行われた。33度をこえる京都のうだるような暑さも何のその,20数入が集まって,東北から九州,沖縄までの石臼を見学したり,私の石屋を見たり,そしてお昼には研究室で小豆島のソーメンを食べたり.午后は大学会館で勉強会.集まった人はさらに増えて40余名にふくれ上った.10人位でひそひそひそとやる予定だったのが狂ってしまって,お菓子の数が足りなくなり事務局は大あわて。
第一講「小麦と石臼と教師」  岐阜市立青山中学校大谷昭子
(技術・家庭科の教材に石臼を使って、小麦からうどんまでのトータル プロセスを生徒に体験させるというユニークな教育を2年前から実施されている実践レポート)

 現代っ子に欠けたもの,それを生んだほんとうの原因は,うわべだけではあるが,余りにも完成された現代文化,現代技術の成果,とくに食品の形態にあることを鋭く指摘するお話であった.それを中学生のひとつひとつの反応のなかでとらえ,石臼で小麦を粉にすることにまで人類技術史をさかのぼって追体験させることにより補うことを試み,教育の本格的な道を歩んでおられる姿に,参加者は強くうたれた..,
第2講「マルクスとミューレ(石臼)の問題」尼崎鉄鋼短期大学 藤田恵子          
 藤田さんはマルクスの資本論のとくに技術史を研究するために,マルクスの手稿にまでさかのぼり,さらにその原典にまで手をのばして深く追求しておられる学究である.回転挽臼と水車の発達史が,技術史の源流を形づくっていることを,ポッベの技術史にもとづいてマルクスが正しく指摘している.このあたりの詳しい研究や記述は今までなされていなかったところである.
 スライドによる図解入りのお話は,マルクスに興味をもたなかった人達にもよくわかるお話であった.
第3講「手挽抹茶臼の実演と機械臼の味の比較」京都府立茶業研究所  大西市造
 宇治石製の宝物級の見事な手挽き抹茶臼2個と,モーター駆動の石臼をもちこんで,ひきたての抹茶をのませて下さるという,たいへんな舞台仕掛でのお話.このためにわざわざ原料茶(碾茶)も準備していただいたのである. 茶道というお行儀はいっでもどこでも習うことができるし,やることもできるが、そこで使う抹茶はいつでも既成品.ここもインスタント食品時代の悲哀がある. 

 手挽き臼で挽いて,挽きたてのお茶をたてていただくというぜいたくは,ここに集った現代の貴族でなければできない.抹茶がどれほどデリケートなものであるかを示す実験(日光ではもちろん・蛍光燈でも約20分で変化する)もしていただいた.官能試験用の白い茶椀でみる,抹茶の鮮かなグリーンも,はじめてみたおどろきであった.
第4講「遺跡から発掘された石臼の報告」   同志社大学三輪茂雄
 とくに.中世の遺跡から発掘された石臼のスライドを中心にした説明し、考古学の分野に踏みこんだ石臼研究の一端が披露した.

 参加者の構成は実に多様で,年令層は20代から70代まで,職業は種々雑多,ただひとつ共通しているのは,「もの好き」ということ.食物学の大先生,美学や民俗学の先生,元水車大工さん,うどん屋さん,製茶機械屋さん,中学の家庭科の女先生達,博物館の先輩……などなどそれでも粉体工業関係者が多いのは主催が粉体工学研究会であるためか.日本粉体工業協会本部の事務員山元さんの顔もみえていた.

 とにかく日本石臼研究会は異色の集いとして成立してしまった. 閉会後もあちこちで話の花が咲き,なごりおしそうに夢中で語る小グループ会が出来て,会場係は会場から参加者追い出しのために苦労するという有様であった.ほんとうに楽しい会であったというのがすべての参加者の感想.次回は秋に,うどんづくりや,ハッタイ粉の研究をやる計画があるとか.
参加者:田原幸三(信州大学,美学),篠田統(食物史),大谷昭子,桜井昭子,矢崎有希子,杉山恵子(青山中学,教師),大西市造,内良義勝,香川美代子,森下博三,角田博一(製茶),藤田恵子,徳永盛一(鉄鋼短大,技術史),宇佐美辰一(松葉屋,うどん),伊藤春吉,伊藤ヌイ子(元水車大工),北村誠一,段上達雄(石の会,民具学),渡辺誠(大谷大学),山本秀夫,木村醇(日本製粉),河野能子(シオノギ製薬),山元昭子(日本粉体工業協会),横山藤平,秋山清三郎(細川鉄工所),寺下敬次郎(大阪府大),中野実作(ケミカルエンヂニアリング),臼井一男(技術士),田坂明政,三輪茂雄,日高重助,神野厚子(同志社),井上良子以上33名(内女性11名<さすが臼の研究会,そして京都ならではの優雅さ〉)ほか同志社の学生数名.

戻る