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 小学生向けの粉の説明
 パンやケーキ、うどんなどが小麦粉から作られることは、君たちもよく知っているだろう。だが、ガラスも粉から作られるといったら、まさかと思うのではないだろうか。ところが、ガラス製造工場へ行ってみると、原料はみな粉だ。原料のケイ石が工場に運ばれてくると、それを細かい粉にくだく。それに、石灰石とソーダ灰の粉とを混ぜ合わせ、1500度以上の高温で熱する。すると、真っ赤にとけた、あめのようなガラスに変化する。これを冷やしたものが、君たちのよく知っているガラスである。瀬戸物やれんがは、土や石をくだいて粉にし、固めて焼いたものである。コンクリートの電柱や建造物は、セメントの粉と砂とじゃりを混ぜ合わせて固めたものである。ブラスチック製品も、粉の原料を型に人れて、固めたものである。このようにみてくるど、わたしたちの身の回りにある多くの物は、粉の過程を通ってできているこどが分かる。では、なぜ粉にするのだろうか。粉にするど、どんな都合のいいこどがあるのだろうか。パンがてきるまでを例にどって、その理由を考えてみよう。小麦のつぶは、かたい皮におおわれている。そこでまず、このかたい皮を取りのぞいてから、小麦のつぶを粉にする。小麦のつぶには、食べられないふすまの部分がしっかりと食いこんでいるので、粉にしなければ分けられないからだ。その後、さらにに細かくくだいて、粉のつぶの大きさをそろえて、均質にする。それに、さとうやイーストなどを混ぜ合わせ、水を加ええて練る。こうすると、食パンでも菓子パンでも、作りたいものを作ることができる。
 そてして最後に、形を整えてから焼く。こうして、味も形も焼き加減も、自分の好みに合ったパンができ上がる。
 このほか、入れ物に人れて運んだり、たくわえたりすることも、粉だからこそ簡単にできるのである。

 粉と人間の歴史は、一万年以上も昔にさかのぼる。野生の果物や実などがたくさんあったころ、人間は、粉に作り変えて食べることは全く考えなかった。しかし、しだいに人ロが増え、野生のものをそのままの形で食べるだけでは、食べ物が不足するようになった。そこで、小烏しか食べないような小さな草の実を、なんとかおいしく食べようとする工夫から、粉を作るようになった。
 粉を作る道具は、初め、台になる石(石皿)と、手に持つ小さな石とであった。下の石の上に草の実などを置、上の石でたたきつぶすか、すりつぶすかして、粉を作った。

 それがだんだん進歩して、下図のような中間段階を経て

紀元前2500年ごろ(エジプト時代)には、大きなブ石の上に小麦などを置き、石のぼうを前後に動かして粉にひく、サドルーカーンという道具が開発された。

その後、紀元前五百年ごろになると、上の石を回転させて粉にひく、ロータリー−カーンという道具が発明された。この道具には、てこの原理が利用されていること、石に目立てがほどこされていること、粉が外に出てくるように工夫されていることなど、画期的な改良が加えられている。


  この技術が、その後、風車や水車で粉をひくときにも生かされ、現代の粉をひく機械の誕生のきっかけとなった。

 現代では、粉を作る技術はますます重要になってきている。コンピュータの中などに使われる半導体や、はがねよりもかたいニューセラミックスを作るためには、性質のそろった、細かい粉を作る技術が必要である。そして、今では、一つぶが1ミリメートルの一万分の一の大きさ以下の粉も作れるようになった。

 

わたしたちの社会は、今後さらに科学技術を発展させ、ますます多くのすぐれた物を生み出していくだろう。それにともなって、ますます粉を作る新しい枝術が必要となるだろう。上の図は原子力発電に使う黄色い粉(エローパウダー)を作る工程の略図だ。ウランは粉にしてから、固めて原子炉に入れる。なんのことはない。パンや瀬戸物をつくる工程のつづきなのだ。

以上は文部省検定済教科書『国語5年(三輪茂雄著)』に加筆した(光村図書出版刊 平成5)

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