新素材ー松脂と砂を固めた (岡山北部の尼寺にあったという)

 茶臼の素材を求めての苦心作が,香寺民俗資料館にあった。ここは仙人のような人物が館長である。

この茶臼の鑑定を依頼されたが,石は砂岩らしいが,見たことが怪しい表面の艶。その刻まれた目は鋭いカッターで刻んだ感じだ。まさかと思ったが,カッターをあててみたら,簡単にきれるのだ。これはどうしたことか。試しに切り屑を炭火に入れたら,松脂の匂いがする。これでわかった。松脂に細かい石英砂を混ぜたものを,表面に塗って,小刀で目をたてたらしい。現在の複合材料コーティングの発想である。江戸時代の人々の工夫であろう。実際に碾茶を挽いてみたがまともな抹茶ができた。

 島津弥太郎氏兵庫県氷上郡の山中の尼寺にあったという。

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