中国には観世音寺碾磑に相当する遺物があるはず。1990年に当研究室出身の米沢晋彦君によって、2件発見された。中国敦煌の敦煌文物博物館に展示されている一例と、洛陽の少林寺でも観世音寺のものとほぼ同じ碾磑が発見された。上臼直径1.16メートル、上臼高さ31.5センチメートル、畜力回転用レバー穴4個、8分画13溝、側面に銘がある。しかも少林寺の碾磑は、武徳8年(625年)に、唐の第一代皇帝であった高祖から賜ったとある金石萃編巻41がある(西岡弘晃「唐代京畿地域における碾磑経営について」(福岡大学大学院』1969)))。この年代が日本書紀の時代にも一致する。
洛陽にあった類似の物体(年代が観世音寺の碾磑に近い)