このマンガは有名な書店の塩ふき民話絵本の絵である。このおじさんはどっちへ回そうかと思案している。逆に回せば塩は止まるが、どっちが正しい方向か迷っている。
方向の話は別にして、この絵はおかしいが、最近某有名雑誌社が古いものブームにのって石臼をとりあげた記事に実物の写真があるからあきれたものだ。岡崎の専門石屋につくってもらったという。柄のつけかたがまったく異様である。この手の孔開けはダイヤモンド砥石を使うから作れるが、挽きにくい。私が見た範囲ではローマ時代にこの手の挽き手があった。ときどき子供のマンガにもでるやつだ。人類は石臼を挽く作業からテコの原理を学んだ。
挽き手は自然の木の枝振りを見て上右図のように切りとるのが便利でだ。私は夏に京都御所で欅の剪定があるのでそのとき適当なのをもらってくる。
挽き手を動かないように取り付けるにはかなり苦労する。ことにタガなしで横から打ち込むタイプでは四角な穴が開いていないと具合が悪いが、現在の石工用グラインダーは四角穴は開けにくい。不可能だ。そこでマンガのようなことになるわけだ。どうしても開けてくれと頼むとおおいに困る。
どうしてもなら丸穴で接着剤利用も可能かも知れないが、とり外しは不可になる。
重い石臼のときは天井に支点を置く方法がある。これなら2人して挽ける。この絵は東京都西多摩郡で見た例である。