-沖縄豆腐はほんとうにウマイか?

昭和4年生まれ

 

 豆腐を固めるまえの状態の「湯しトーフ」(おぼろ豆腐),ゴーヤー(苦瓜)チャンプルーなどなど沖縄独特の料理は忘れ難い沖縄の味だ。石垣市内の書店で見つけた石垣愛子著『珊瑚の島の家庭料理』(民宿石垣島刊,1999)にこう書かれていた。「トーフは島の食生活の中ではなくてはならない蛋白源の一つであり,誰もが抵抗なく食材として使われ愛されている。製法は本土の煮とりに対し,呉汁を生でこしてから,煮るという生しぼりである。戦後十年程まではどの家でも石臼を使い,海水を利用して自家製のトーフを作っていた。現在は工場生産でパック入りである。味も昔のとは少々違うように思われる。海水とニガリの違いであろうか・・・」

 1999年6月8日沖縄の有力豆腐製造工場(日産20000丁)豊見山食品工場を見学した。毎朝3時に起きるというものすごく元気な奥さんや90を越えたおばあさんから説明してもらった。工場の外にも豆腐の匂いが満ちていた。臼はグラインダーであった。最近値下げ競争がはげしくて,ふつうは1丁も特大のサイズで150円で売っている。沖縄はずば抜けて豆腐消費量 が大きい。人口4-5万人でここと同じ位の工場が7-8軒もあるといい,その他も入れると20軒以上というから驚きだ。沖縄では大豆を作らなくなったので,現在は各地から大豆を入れている。上等のは例えば,福岡県産は30キロ入り7800円で普通 の大豆の3倍もするのでたまらないと。午後は八重山農業高校の仲宗根用英校長に会い,同校で在来種とおぼしき種で栽培実験中の状態を見学した。沖縄でも大豆は2毛作がはないという。猪は島だからいないかと思ったらいる,泳いで来るらしい。

 国際農林水産研究所の江川宣伸氏の講演で,国際大豆シンポジウムに関心をもっていると話された。。翌6月7日の石垣島での八重山文化研究会主催増田昭子講演会「プーリイ・五穀豊穰」に同席した時,質疑応答で「豆腐用大豆の在来種が失われている,探してくれないか」と発言があった。沖縄では大豆の在来種が不明になっているようだ。沖縄のは小粒だというのは本当のよう。増田氏は祭祀用に細々と保存されている可能性がある」ので探したいと。この講演会の世話役は石垣繁氏で高校教諭だった方で,言語学者でもあり地元の実力者である。江川氏は在来種をもっているので,八重山農業高校との連絡をとりながら研究することになった。お互いの連絡がなかったようだ。

 6月10日石垣愛子氏を民宿石垣島木島に訪ねて私が石臼豆腐に興味を持っていることを話した。石臼は臼師がいないのであきらめておられた様子。石臼で豆腐を造っていた経験があり,本来豆腐は海水で固めるもので,現在のニガリになっておかしくなった。硫酸カルシュームやグルコンは論外。近海の海水が汚染のため使えなくなったのが最大の原因」と。「それならパイプラインで遠洋から海水を取れば」といったらそれが最高の解決でしょう。」とのことであった。「市当局に進言してください。沖縄の豆腐消費は日本でも最大だが,現在は大豆が沖縄産ではない。これが問題だ」と。市内の中心地にある公設市場を何度も探検したが,そこにある「島豆腐」は東京へも宅配便で送るという。参考のため買って来た。しかし本土の一般の豆腐よりはいいにしてもウーンとはいえないものだった。

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