物臭太郎

 無精者のことを物臭太郎というが、民間説話に素材を求めた室町時代の『御伽草紙』1巻 にある。信濃に住むたいそうものぐさ(懶)な男が、その歌才によって立身出世し、最後におたが(穂高)の大明神となったという。藁縄帯にして物臭草履の破れたるをはき、名を物臭太郎と申す事は国に並びるきほどのものぐさなり。ここで物臭草履とは足半(あしなか:踵(かかと)のない短い草履で走りやすいから、戦の折歩卒がはいたという。

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