リンク:豆粒文土器
従来文明といえばエジプト,チグリス・ユーフラテス,インダス,黄河の名があげられたものだ。
だが最近では、それより五千年も古い縄文土器が語られている。約12000年前の縄文土器を挙げる研究者が多くなった。本書の著者も豆粒文土器を指摘している。縄文土器は古代人の生活に画期的な革新を与えた発明だった。日本の現在の食文化のルーツはここにあったのだ。生野菜を食べる洋食と和食の煮物についても考えさせられる。
志村史夫著『古代日本の超技術 』(講談社,2001)860円
著者はこう書いている。「古代人の生活において、画期的な発明は土器である。土器の発明によって、食物を煮て食べられるようになった。そのことによって、それまでは食べられなかったもの、とくに植物類が食料として利用できるようになった。土器が存在なましない段階では、食物の調理は、生か焼くか、焼け石を石のくぼみの水に入れて温度を上げて温める程度のものだけだった。しかし、土器の発明により、堅い食物を軟らかくする長時間の煮炊きが容易になっただけでなく、さまざまな味つけ、つまり"料理法〃を発達させ、人類の可食範囲が飛躍的に拡大した。その結果、人類が摂取する栄養の量も質も著しく向上したにちがいない。実は、この土器の発明は、人類が化学変化、すなわち科学を応用した最初の発明なのだ。そして、世界最古の土器は,いまのところ(新たな発見があるまでは)、長崎県泉福寺洞窟で発見された縄文土器(豆粒文土器)である。」
五重の塔の耐震設計と超高層ビル、砂鉄から作った法隆寺の釘は千年もつという西岡棟梁の話、、奈良大仏鋳造の話などおどろくことばかりである。
なお著者は1948年生まれ、現 静岡理工科大学教授、最先端のエレクトロニックスが専門だから驚きだ。偉大だった日本の祖先を再認識させる名著である。