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日本経済新聞社刊:Scientific Americanの日本版日経サイエンス1998年2月号に世界の ブーミングサンドの山などカラー版記事が出ました。アメリカミシガン大学の Nori先生ら の記事です。
アメリカの鳴き砂研究者が久しぶりに世界の鳴き砂を紹介する記事を書いています。 ミシガン大学のNoriさんほかが著者。題して「ほえる鳴き砂(ブーミングサンド)」。「古来より悪魔の声や太鼓の音にたとえられてきたブーミングサンド。愛らしい音を奏でる 日本の鳴き砂とは違った、とどろく砂の謎に迫る」私が全訳を依頼されました。その訳者注より: ミシガン大学の3人の著者とは面識はないが、不思議な縁で数年まえから電子メール による交流がある。私がネバダ沙漢のブーミングサンドを訪ねたのは、1992年3月だった。 原住民が怖れて近づかなかったといわれる神秘の砂山を期待して、はるばるサンドマウン テンを訪ねた。 ところが、そこには異様な景色が展開していた。日本製デューンバギーに乗った米国の 若者たちが群がっていて、誰ひとりとしてブーミングサンドの謎を語れる人物はいなかった。 もちろんブーミングの気配もない。案内してくれた現地の米国人とこんな冗談を交した。「これは黙っていられない。日本から日本の鳴き砂(福島県照島の砂)で 砂時計を時限機械にした爆弾を紙風船に積んで、米本土攻撃を実現した故事 に因んでペ一パーバルーン爆弾(ぺ一パーは論文の意)を送りましょうか」この冗談はすぐ現地の人たちに通じて「やりなさい。これはけしからん、しかし、その冗談は日本では通じないでしょうね」案の定、この話をサンフランシスコから朝日新聞社にファックスしたが完全にボツ になった。ぺ一パーが論文を意味することさえ通じなかった。 帰国後、ネバダ州リノにあるBLM(日本の国土庁にあたる)の出先機関に、110円の 切手を貼って航空便でぺ一パーバルーン爆弾を送った。風船爆弾のイラスト入りで 「Don't kill the sing sand」と書いた。すぐに責任者の署名入で返事がきた。「この地のレクリエーション地域管理計画は1985年に書かれ、生態的影響は 若干ありました。当時はブーミングサンドヘの影響については利用できる データがありませんでした。私たちは貴殿の研究に非常な関心をもっており、 情報をいただきたいと思います」さらに現地のチャーチル博物館でも大いに私の論文に関心を持ち、コピーを全米に ファックスしたという。このファックスが今回の記事の著者たちにも届いたことは、 2年後に私あての電子メールが来て知った、「あなたのバルーンは面白い。私たちもこれをコピーしてワシントンヘ送る」と。それが著者の1人、ノリである。さて今回の翻訳に着手してみると、どうも本人たち の現地記述に迫カがない。ほとんど私が入手している文献からの推量である。 ブーミングサンドの話が主題だから、海浜のスキーキングサンドしかない日本や東南 アジアが出てこないのは当然として、中国は鳴沙山だけというのもわびしい。私のホーム ページにミシガン大学がリンクしているから当然知っているはずだ。物理学者だから無理 もないが、現地を見ていないらしい。ことにハワイ・カウアイ島の記述は気になった。「その砂丘は主として炭酸カルシウム粒子で、海の貝から生成したものであり、 石英からではない唯一のブーミングサンドである。……この海浜の研究は価値が あるに違いない」とある。しかし、私がI997年夏に現地を視察したところ、そこはミサイル墓地になっていて、 砂は荒列放題、ブーミング音は出そうもない状況だった。 私がカウアイ島のブーミングサンド調査に行くことを、私のホームページで知っていた ハワイの日本語ラジオ衛生放送のインタビューに来たから、ハワイの人たちはブーミング サンドの重要性を理解すぺきだと話した。 このことをミシガン大学へ知らせたところ驚いた様子。「私たちも軍の司令官へ申し入れたい」これらの情報交換はすべて、電子メールとミシガン大学の、 http://www.persona1.engin.umich.edu/~nori/boomingsand.htm1 を通じてだった。米国の有名なリンク集 Barry's 1ink(http://www.randomhouse.com/davebarry/davefaves/go.htm1 作者は大学院生で卒業したからこのサイトは消えた)が、私が作っているぺ一ジにリンク してから、多くの未知の人々の私のぺ一ジに書き込みが急増し、直接メールも来るように なった。カリフォルニア州のエウレカ砂丘がブーミングサンドであり、是非来いと詳細な 地図付きのメールも来た。またアセアン諸国のほか、中国蘭洲沙漠研究所からも情報が 入った。まだ始まったばかりだが、今後が楽しみである。「鳴き砂の学会はないか」 との質間もあるが、いまやWWWの時代である。堅苦しい学会よりも出入自由で時間の制約 もないWWW学会が主流になるかもしれない。訳者三輪茂雄 専門は粉体工学。