万葉集の歌人は鳴き砂を知っていたか
万葉集:読売新聞の窓欄によみ人知らず(報道では額田王の歌とあった)として万葉集にも鳴き砂の記載があると報じられたことがある。これについて駒沢大学院生の伊藤達氏(たつし)が図書館にコモッテ調査した。原文は「紫之 名高浦之 愛子地 袖耳触而 不寝香将成」で万葉仮名で書かれている。現代文では「 紫の名高の浦の砂地 袖のみ触れて寝ずかなりなむ」意味は「 名高の浦の砂浜に袖が触れただけで、寝ずじまいになるのだろうか」はなはだ高尚な意味深である。語釈は 砂地 細かい砂のある所。マナゴには愛児、いとしい少女の意の同音語があり、原文「愛子地」の表記もそれにかけているのだろう。
旅先で言葉をかけた可憐な少女をたとえたものであろう。場所は 名高の浦 和歌山県海南市名高町の海岸 この歌は鳴き砂のことを詠んだ歌ではなさそうだ。語釈は日本古典文学全集(小学館) による。他の注釈を見ても鳴き砂と解釈したものはない。 少女との淡いかなわぬ恋を詠んだ歌のよう。ちなみに、同書万葉集巻七にある。