昨年8月にタイを訪ねてホア・ヒンで感激し,私に砂のサンプルをもって来てくれた,米沢君から下記の便りが来ました。
昨年までは確かにホア・ヒンがすばらしかった唯一の証人です。ご参考のために。
昨年彼は巴丹吉林沙漠のブーミングサンド調査に同行し,その帰途,上海からタイへ直行しました。この写真は巴丹吉林沙漠移動中のスナップです。
先日は貴重な情報ありがとうございました。
3月26日から30日までの調査で、HUA HINの鳴き砂のビ−チが無音化しているということを聞いて、非常に残念でした。あれだけ高品質で、すばらしい音を奏でた鳴き砂の浜が鳴かなくなるなんて、すぐには信じられませんでした。この原因について、私は以下のように考えました。
タイの季節は大まかに暑期(3〜6月)、雨期(7〜10月)、乾期(11〜2月)に分けられ、特に雨期と乾期がはっきりしています(降水量は9月で332mm、1月で10mm)。
また、日中の気温は30℃を越えています。私がHUA HINを訪れたのは雨期の真っ盛り(降水量198mm)で、雨が降っても1〜2時間程度ですぐにやみ、その後に太陽の厳しい日差しが照りつける、という状態で、雨がやんだ数時間後にはぬれた鳴き砂の表面が乾いていた状態でした。そのためいくら大勢の人が訪れてもうまく洗浄ができたのだと思います。
ところが先生の訪れた3月は暑期の中でも雨量が少なく(23mm)、また大勢の人が訪れる時期なので、ビ−チにあふれんばかりの人たちが汚していった鳴き砂を十分に洗浄できなかったのではないでしょうか。
何十年前は風が吹くだけで鳴いていたすばらしい鳴き砂の浜を、人の手でなくしてしまったのは大変残念なことです。
しかし、まだ今なら保護区を設定して立ち入りを制限したりすることにより、鳴き砂の浜を昔の姿に戻すことが可能であると考えられます。
タイの人々がこの重大な事態に気づき、一刻も早く鳴き砂の保護に取りかかることを切に望みます。
1996年5月17日
神戸葺合中学校教諭 米澤 晋彦(Tel.078-241-0444)