日本経済新聞 2000年7月4日(火曜日)記事

海岸汚すプラスチックごみ年1万-2万トン漂着・投棄

環境庁調査:海外からの容器も

 全国の海岸に漂着したり捨てられるプラスチック類は推計で年間一万-二万トンに達することが三日、環境庁の調査で分かつた。海洋を漂流するごみの九割以上、海岸に漂着する人工物の五割をプラスチックごみが占めていた。廃プラスチックによる海洋汚染の実態を体系的に調べたのは初めて。同庁は、ペットボトルや買い物袋などプラスチック製のごみを捨てないことや、プラスチック粒が工場から漏出しないようメーカーに対策を講じるよう訴えていく考えだ。

 調査は1997-99年に全国13カ所の海域で漂流物を採取。12カ所の海岸で漂着物を調査した。.漂流物調査は船で収集ネットをえい航、木や竹などを除く人工物に占めるプラスチック類を調べた。プラスチック製のひもやスーパーなどで使う買い物袋などが1キロ当たり平均4.8個.採取された。  

 漂着物は人口密集地の海岸で量が多かったが、日本海岸ではハングルや漢字、ロシア文字の書かれた海外からの容器などが多数見付かった。  調査は東京の荒川、神田川、隅田川でも実施。プラスチック製品の原料になるレジンペレットという小さなプラスチック粒が漂流する人工物の約5割に達していた。環境庁は大都市部の工場から河川を通じて海に流出している可能性があるとみている。

 海洋を汚染するプラスチックごみについては、ひもや袋に引っ掛かったり、小さなペレットを食べたことが原因で野生生物が死亡するケースが各地で報告されている。

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