リンク:粉についての幼児向け絵本
文部省検定済教科書(国語 五上 銀河 (光村書店刋)
(2001年まで国語五年用 に採用されていたものですが、販売されなくなった後も照会が多いのでアップしました)
粉と生活
パンやケーキ、うどんなどが小麦粉から作られることは、君たちもよく知っているだろう。だが、,ガラスも粉から作られると.いったら、まさかと思うのではないだろうか。ところが、ガラス製造工場へ行って見てみると原料はみな粉だ。
原料のケイ石が工場に運ばれてくると、それを細かい粉にくだく。それに、石灰石とソーダ灰の粉とを混ぜ合わせ、1500度以上の高温で熱する。すると、真っ赤にとけた、あめのようなガラスに変化する。これを冷やしたものが、君たちのよく知っているガラスである。
瀬戸物やれんがは、土や石をくだいて粉にし、固めて焼いたものである。コンクリー
トの電柱や建造物は、セメントの粉ど砂とじゃりを混ぜ合わせて固めたものである。プラスチック製品も、粉の原料を型に入れて、固めたものである。
このように見てくると、わたしたちの身の回りにある多くの、物は、粉の過程を通ってできていることが分かる。では、なぜ粉にするのだろうか。粉にすると、どんな都合のいいことがあるのだろうか。パンができるまでを例にとって、その理由を考えてみよう。
小麦のつぶは、かたい皮におおわれている。そこでまず、このかたい皮を取りのぞいてから、小麦のつぶを粉にする。小麦のつぶには、食べられないふすまの部分がしっかりと食いこんでいるので、粉にしなければ分けられないからだ。
その後、さらに細かくくだいて、粉のつぶの大きさをそろえて、均質にする。それに、さとうやイーストなどを混ぜ合わせ、水をか加えて練る。こうすると、食パンでも菓子パンでも、作りたいものを作ることができる。
そして最後に、形を整えてから焼く。こうして、味も形も焼き加減も、自分の好みに合ったパンができ上がる。このほか、人れ物に人れて運んだり、たくわえたりすることも、粉だからこそ簡単にできるのである。
粉と人間の歴史は、一万年以上も昔にさかのぼる。野生の果物や実などがたくさんあったころ、人間は、粉に作り変えて食べることは全く考えなかった。しかし、しだいに人ロが増え、野生のものをそのままの形で食べるだけでは、食べ物が不足するようになった。そこで、小鳥しか食べないような小さな草の実や木の実を、なんとかおいしく食べようとする工夫から、粉を作るようになった。
粉を作る道具は、初め、台になる石(石皿)と、手に持つ小さな石とであった。下の石の上に草の実などを置き、上の石でたたきつぶすか、すりつぶすかして、粉を作った。それがだんだん進歩して、紀元前2500年ごろには、大きな石の上に小麦などを置き、石のぼうを前後に動かして粉にひく、サドルーカーンという道具が開発された。その後、紀元前500年ごろになると、上の石を回転させて粉にひく、ロータリーカーンという道具が発明された。この道具には、梃子の原理が利用されていること、石に目立てがほどこされていること、粉が外に出てくるように工夫されていることなど、画期的な改良が加えられている。この技術が、その後、風車や水車で粉をひくときにも生かされ、現代の粉をひく機械の誕生のきっかけとなった。
リン
現代では、粉を作る技術はますます重要になってきている。コンピュータの中などに使われる半導体や、鋼よりもかたいニュー・セラミックスを作るためには、性質のそろった、細かい粉を作る技術が必要である。そして、今では、一粒が一ミリメートルの一万分の一の大きさの粉も作れるようになった。わたしたちの社会は、今後さらに科学技術を発展させ、ますます多くのすぐれた物を生み出していくだろう。それにともなって、ますます粉を作る新しい技術が必要となるだろう。
注 半導体:温度や不純物の度合いによって電気を通したり通さなかったりする物質
感心したところは
この文章を読んで、感心したところを挙げて、話し合おう。
身近な例で
筆者は、まず、身近な生活の中ぎにあるものから例を挙げ、疑問を投げかけて書き進めている。それで、読者には、とても分かりやすい。このような文章の書き方の工夫に気をつけて、読んでみよう。
要点をまとめて
段落の要点や段落と段落との関係に注意して読み、文章をいくつかの大きなまとまりに分けてみよう。そしで、この文章が、全体としてどういうことをのべようとししているか(要旨)を考えよう。
こそあど言葉に注意して
次のこそあど言葉は、それぞれどんなことを指しているか。