私を石臼博士と呼んだのは誰?

 1995年オーム事件が国松長官狙撃事件で湧いていたころ、東京の新宿ではデーパート戦争花盛り。その最中、某民放のテレビが突然私に人物登場という番組に参戦の誘いにきた。「今新宿では豆腐戦争が始まっている。伊勢丹、小田急、高島屋などで、1丁1000円豆腐に行列ができて注文しても1月かかる」という。テレビは相模原の古影山豆腐を訪ね、その主人が「私は石臼博士に教えてもらった」というので取材に来たわけ。1日32丁しかできないから1000円だと。私は確かに石臼博士とよばれてもしかたないくらい、石臼関係の著作があるし、東京でもなんども石臼の講演会を開いたから、そのときお会いしているらしいから取材に応じた。その後どうなったか後日談を聞きたいが情報がない。

 最近、大丸が石臼通信販売のビラを出した。高島屋も出しているという。さっそく検索サイトの goo で石臼を検索したら500件も出た。まさに石臼ブームの感がある。好奇心からさっそく最小の茶臼を購入してみた。ニセモノくさいが、見かけは立派だ。よくぞあの値段で売り出せるものだと感心した。上等の碾茶とお菓子を準備して茶会を開いた。しかしとても抹茶と呼べる緑の粉は出てこない。もういちどビラを詳しく読むと、「挽けなかったら細かくなるまで繰り返し挽きなさい」。なるほど。さすが大丸さんのセールスマン。抜け目がないから返品とはいかない。友人は棚の飾りものにスバラシイという。私は「買いだ」。さっそく大型のを再注文した。5万円そこそこで、原石も簡単には手にはいるものではない。たくさん購入して私のところで目立て直せば一人前になりそうだ。

 パソコン通信によると、九州の八女市でジャンボ石臼直径1.7mを製作中とか。九州は中国や西洋に近いから、昔から外来文化がまっさきに入る。西暦710年の天平年間に太宰府の観世音寺に直径1mを越える石臼が入ったという。現在もその遺物が同寺の講堂の前にある。今度はオーストリアから輸入したという。輸入商社は田中三次郎商店(Tel.0120-32-2002フリーダイヤル)。

 厳重注意:ブームにのって私をダシにして、中国製の不良石臼を高校などに売りつける悪党もいる。この男は「石臼博士の推薦」と私の著書のコピーに写真入パンフを作り学校関係や生協に出した。「どうもおかしいが」とあちこちの先生から電話が来てわかった。本人の電話を調べて「肖像権と著作権侵害で訴えるぞ」とおどしておいた。まだうろちょろしている筈だ。少なくとも50組輸入したらしいというからご注意を。また被害にあったかたは私あてにお知らせください。

福井県織田町でも豆腐屋さんは先代の遺物を雨ざらしして飾っていた。直径は約60cm(もったいない)1999年

戻る